カカイルクエスト

【6】
「何ですって!? イルカさんとチームを抜けたい?」

「抜けたい、じゃなくて抜けるの。俺は冒険なんかやめてイルカ先生と二人で幸せにくらしたいの」

「だめですよ! 先輩。先輩がいないと魔王なんて倒せません! ボク未だにレベル1なんですから!!」

「でも、ねぇ」

「でも、じゃありません! 世界の平和の為にお願いします」

「カカシさん、俺からもお願いします。ていうか、無責任なカカシさんなんて俺は嫌いです」

「わかりました! イルカ先生、俺は貴方のために魔王を倒してみせます!」

テンゾウはほっと胸をなで下ろした。
イルカ先生最強か。

「でもひとつ条件があります。イルカ先生、俺のお願いを聞いてください。じゃないと俺は旅を続けませんよ」

嫌な予感がしないでもないが、カカシは言い出したらきかない性質である。
イルカは素直に頷くしかなかった。

「では、ダーマの神殿にいってイルカ先生を転職させましょう!!」
「はぁ……」


――ダーマの神殿――

「なっ、なっ、なんでこんなんになってるんですかーーっ」

イルカの絶叫が神殿内にこだまする。
そこに居合わせた誰もがイルカを憐みの目で見ていた。

カカシがイルカに強いた職業は、夜の奴隷である。
全裸に近い恰好に首輪という格好をさせられたイルカは己の不運とカカシの無体を嘆いていた。

「あぁ、ごめんね、イルカ。泣かないで。貴方に素敵な衣装を買ってあげるから」

「絶対ですよ? 俺、こんな破廉恥な恰好嫌ですからね!!」

「はい、まかせといてください!!」

大都市にルーラをかました勇者一向はすぐさま武器防具店へと足を運んだ。
そこでカカシは金に糸目をつけず、高価な武具防具をイルカに買い与えた。

「カカシさん……。大金を俺の為に使ってもらっておいてなんですが、素直に喜べない自分がいます。どうして踊り子の服ベースに首輪と腕輪なんでしょうか?」

「先輩。ボクも納得できません。どうしてボクは未だにひのきの棒と皮の鎧なんでしょうか」

「うん。二人とも文句言うと、俺旅やめちゃうよ?」

そうニッコリ笑われてしまうと何も言えない二人である。

【7】へ