じゅげむじゅげむ <前>
「あーっ、もうあったまきた!! 俺は怒りましたからね。また俺のことを後回しにして。アナタが態度を改めるまで、俺はなんにもしませんから!」幻術が苦手な生徒の補講カリキュラムを組み直したくて、カカシさんからの夜のお誘いをお断りしたところ、上記のようなセリフを叫んでカカシさんがその場にごろんと寝転んでしまった。
「風呂上りにそんなところで寝ていたら、風邪ひきますよ?」
とか。
「せめてパジャマを着たらどうですか?」
とか。
和室の真ん中に置いてある卓袱台の前に陣取って、鉛筆を動かしながらもカカシさんのことが気になって、振り返りって声をかけてみたけれど、カカシさんはテコでも動かなくて、腰にバスタオルを巻いただけの恰好で天井を睨み付けている。
「はぁ〜」
カカシさんと付き合って、はや三年。
世間では三年目の浮気だとか、そろそろ倦怠期とか言われているけれど、俺たちにはそんな気配もなく仲良くやってきたと思う。
「なによ。まるで俺が悪いみたいに溜息ついて。恋人のことを最優先にしたっていいでしょ!」
俺はカカシさんが大好きで大切だ。
でも、いつどんなときでもカカシさんを最優先に出来るかといえば、違う。
だって、そんなことは不可能だろう? 教師という仕事柄、生徒を優先しなければいけない場面は多々ある。
カカシさんは何でも自分で出来る大人だけど、子どもは取り返しのつかない失敗をすることがあるんだし。そうなる前に教師である自分がしっかりと手を差し伸べて、今後の人生に悪影響を与えないようにフォローしなければいけない、というか、そうしたいと思っている。
「いつだって、俺が一番じゃないとイヤなんです」と駄々をこねる恋人に、この手の話は何度も説いてきかせたのだけれど。
さっきだって飯のときに、カカシさんがくだらないことを言い出して喧嘩をしたばかりだ。
「もし、もしもですよ。あなたの大事な生徒と俺が海でおぼれている。先生は浮き輪を一個しか持っていない。どちらに投げますか?」
「そんなの生徒に決まってます」
「なんでっ!?」
「あたりまえでしょう? カカシさんだったら自力で陸まで戻れますから」
「チャクラが切れてるかもしれないじゃない。へーぇ先生は俺が溺れて死んじゃっても平気なんだ」
「違いますってば。あーっ、もう。この話は終わりにしましょう。味噌汁が冷めっちまいます」
むしゃくしゃした気持ちと一緒に会話を投げ捨てて、俺たちは食事を再開した。
喧嘩をしたあとの食事はびっくりするほど不味かった。いつもと同じに作ったのに、不思議だ。
まぁ、あの言い争いのあとに、夜のお誘いをしてくるカカシさんもどうかと思うけど。
当然そんな気持ちにならない俺がお断りしたところ、上忍サマは完全にヘソをまげられたというわけなのでしたーっ。
「ったく、もぅしらねぇよ」と、小さな声でこぼして俺はまた仕事にのめりこむ。
カカシさんの邪魔が入らないと、驚くほどスムーズに仕事がはかどるから嬉しくて。
当初予定していた仕事を片付けた後も、あれも、これも。と普段気になりつつ手をつけられなかったものに取り掛かっていった。けれど、夜の3時をすぎたあたりで、強烈な睡魔が忍び寄ってきたから、俺は素直に白旗をあげて机につっぷした。
だいたい、睡魔サマは人間の三大欲求のうちのひとつに作用してくるんだから、逆らっても無駄だ。というのが俺の持論。
本当に久しぶりに熟睡して、目が覚めたのは朝の6時。
いつも目覚める時間だ。我ながらちょっとスゴイと思う。
カカシさんと一緒に暮らすようになってから、俺は目覚し時計に頼らなくても起きられるように頑張った。
理由は、まだ寝れるはずのカカシさんを俺の都合で起こしたくなかったから。
いつだってカカシさんを一番に考えるのは無理だけど、これでも精一杯大切にしているつもりなんだけどな。
どうしていつもこの話題になると喧嘩になってしまうんだろう。
っとぉ。こんなことを考えている暇はない!
あの人は今日は上忍師の仕事で、9時に第三演習場にいけばいいから、7時半に起こせば間に合う。
昨夜はちょっと可哀想だったから、朝ごはんに茄子の味噌汁でも作ってあげようか。
立ちあがって、くるりと方向転換すると、畳の上に里の誇る上忍がバスタオル一丁の姿で転がっていた……。
え”っ、昨夜からずっとこのまま?
いや、このままだったから、こんな格好でここにいるんだよな。
えーと……。うん。とにかく今からでも毛布をかけよう。あとは、もう普通に7時半に起こして普通に接しよう。
カカシさんは、どうしてこんなにもヘソを曲げているのかって考えながら俺は出勤準備を済ませ、二人分の ”ちょっと豪華な” 朝ごはんを作った。
炊き立てご飯に、茄子の味噌汁。ひややっこ。昨日の残りの法蓮草のおひたしに、ししゃも。うん。すごくおいしそうだ。冷めないうちに食べてもらわないと。
そうこうしている間に、7時半になったからカカシさんを起こしにいくことにする。
「カカシさん、おはようございます」
返事が、ない。
でも、眠ってるわけでもない。
口をへの字に結んで、両目を開けて!! 天井を睨み付けている。
「まだ怒ってるんですか? 起きないと、仕事に間に合いませんよ。毎回遅刻じゃ、ナルトたちに示しがつかないでしょう?」
……無言。である。
「一体なんだっていうんです。 意味がわかりません」
「昨夜、俺はアナタが態度を改めるまでは、なんにもしません、と言いましたッ! 俺に仕事に行って欲しかったらイルカ先生が俺の準備をすればいい」
ゲッ、まじかよ。
なんにもしません、ってそのレベルかよ……。
呆れと怒りでひくつく口元をなんとか笑みの形に歪めてみる。
「わっ、かりました。まずはお着替えしましょうか」
くっそ! こうなったらとことんお子様扱いして、「せんせ、もぅ恥ずかしいから止めてください」って言わせてやるからな。あー腹立つ!!
俺はカカシさんの着替え一式を用意して、カカシさんの側に坐りなおすと毛布をひっぺがした。
「…………」
えーっと。お子様扱いするどころか。
大人だった。
何が、というか、アレが。
そりゃ、昨夜カカシさん抜いてないもんな。朝勃ち、というより最終形態。
「コレ、先生がなんとかしないとパンツ穿けませんからね」
だよな……。
くっそ、こうなりゃヤケだ!!
俺はカカシさんの分身を片手でやんわりと握りこみ、亀頭部分をパクリと咥えこんだ。
カカシさんの体がビクンと動く。色っぽいなぁ……じゃなくって。うっかり俺がその気にならないように、気を付けなきゃな!!
はやく出させてパンツを穿かせて、着替えさせて、ごはん食べさせて歯をみがいてあげて、送り出さないといけないんだから。
よし、さっさと抜こう。
たくさん唾液を出すために、くちゅくちゅと舌と頬を使って咥内を絞れば、その動きに刺激された亀頭から苦い液体が染みだしてくる。口の中が唾液と先走りの液でいっぱいになったから、俺はほんのすこし唇と開けた。
唇から流れ出る体液はカカシさんのペニスを伝い俺の手も濡らしていく。
ん。とか、くっ。とかカカシさんが感じている声が聞こえてくるけど、気にしない気にしない。絶対に顔だってみちゃいけない。見れば俺が変な気持ちになるに決まってるんだから。
あぁ、そうだ。
いらんこと、考えながら咥えればいい!
――じゅげむ じゅげむ ごこうの すりきれ
「あっ、アァ……っ」
――かいじゃりすいぎょのすいぎょうまつうんらいまつふうらいまつ
「ハッ……ハッ……そ、そこをもっと強く、舌で舐ってぇ……」
――くうねるところにすむところ やぶらこうじのぶらこうじ !!
「うっ……せんせ、きもちイイ。もっとっ……はやく、はやくイきたいっ。あぁっ!」
――ぱいぽぱいぽぱいぽのしゅーりんがん しゅーりんがんのぐーりんだい
「……イルカっ。好き……」
「うぉおおおおお!!!!! もう俺、我慢できねぇ!!
カカシさん、今すぐ抱いてくださいっ!!!!」
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